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[2017.04]デイヴ・ヴァレンティン、逝く April.29, 1952−March.8. 2017

 サウス・ブロンクス生まれ、フュージョン〜ラテン・ジャズ〜サルサを横断し、多彩なシーンで活躍したフルート奏者デイヴ・ヴァレンティンが3月8日に亡くなった。12年と15年に脳梗塞になり、パーキンソン病とも闘っていた。享年64。

文●山本幸洋

 7歳にしてコンガとボンゴを始め、13歳で地元のバンドのティンバーレス奏者になった。よくある話かもしれない。でも、同じ学校に通う女の子と知り合いになりたくてフルートを借りて(この発想に脱帽!)、ラテンも取り込んだ独自のラテン・ジャズで知られるハービー・マンのレコードを聴いて練習し、ヒューバート・ロウズに見出されフュージョン界の寵児だったデイヴ・グルーシンとラリー・ロウゼンが旗揚げしたGRPレーベルの契約第一号ミュージシャンとなった。ハービー・マンのバンドにはパタートがいて、ヒューバート・ロウズは駆け出しの頃にモンゴ・サンタマリーアのコンボに在籍していたとか、デイヴのデビューに至る経緯は運命的な結びつきという感がする。レコーディング・デビューは77年、リカルド・マレーロの『タイム』(VAYA JMVS-64)とパティ・オースティンの『ハヴァナ・キャンディ』(CTI 7-5006)で、翌78年に記念すべきリーダー・アルバム『レジェンズ』を録音する。『タイム』にはデイヴ作「ランド・オヴ・ザ・サード・アイ」が収録されていたり、『レジェンズ』にはタイトル曲「レジェンズ」と「シー・パインズ」の2曲が収録されており、デビュー当初から演奏だけでなく作曲でも才能を認められていたことが窺える。『レジェンズ』はフュージョンのトーン、アレンジ、ミックスではあるけれど、演奏そのもののテンションの高さや確かな構成力といった点で代表作のひとつだと思う。

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