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[2020.01]仁詩 タンゴの枠を飛び越え、 多彩な表現で魅せるバンドネオン奏者

文●渡部晋也 text by SHINYA WATABE

 楽器の中にはジャンルと対にされやすいものがある。ドイツ生まれの蛇腹を持った楽器、バンドネオンなどはその最右翼だろう。タンゴにはバンドネオン。バンドネオンの音色があってこそのタンゴと言われることに別段の不都合はない。ただバンドネオンでもっと色々な音楽を奏でても構わないはずだ。僅かにそれを実践するアーティストもいるが、それは圧倒的に少数だ。

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「仁詩 Banda Nova」撮影:渡部晋也

 バンドネオン奏者仁詩のトリオ、Banda Novaによる新作『FELIX』にはそんな少数派の音楽が詰め込まれている。発売記念ライヴで聴いたギターの田中庸介、ピアノの阿部篤志とのトリオで繰り出す音楽のなんとまあ自由なこと。タンゴという音楽には固執しない。逆から見るとバンドネオンをタンゴの呪縛から解き放つ。そんな印象を持った。

 もちろん仁詩をタンゴ一本槍のアーティストだと思っている人もいるだろう。そういう人に『FELIX』を聴かせたらきっと頭を抱えてしまうのではないか。一体何がどうしたらこんなアーティストが生まれたのか。

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