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[2017.12]特集 「視る」を楽しむ 美しい!面白い!ビジュアルから好きになる音楽(ワールドミュージック)

あなたが「おもしろい」と思うアルバムジャケットはなんですか?あなたが「おもしろい」と思うミュージックビデオはなんですか?

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石田昌隆のコピー

石田昌隆

フォトグラファー
著書は『ソウル・フラワー・ユニオン 解き放つ唄の轍』『オルタナティヴ・ミュージック』『黒いグルーヴ』。

Dudu Tassa & the Kuwaitis『Dudu Tassa & the Kuwaitis』
(2011 | イスラエル)

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今年最大の驚きは、オーセンティックなアラブ音楽が反映されている音楽は、エジプトでもイラクでもレバノンでもなく、イスラエルで発展していると知ったこと。なかでもドゥドゥ・タッサはすばらしい。これはユダヤ人でありながら1930年代からイラクを代表する音楽家だった彼の祖父と大叔父で、50年代初頭にイスラエルに移住したSaleh (1908–1986) and Daud (1910–1976) Al-Kuwaityの楽曲を取り上げたアルバムだ。

Quarter to Africa - Tahabil Tirbach (2017 | イスラエル)

来日したばかりのイスラエルのバンド、クォーター・トゥ・アフリカの『レイバック』の冒頭の曲「Tahabil Tirbach」のMV。見ているだけで理解できる寸劇仕立てが面白い。マフィア役の人は、イスラエルのバンド、ShevaのGil-ron shama。ギャングなどその他の登場人物はすべてバンドのメンバーだという。この曲のタイトルはモロッコの言葉で、少しマヌケになってリラックスすれば物事がうまく進むという意味だ。


板谷曜子_写真のコピー

板谷曜子

アフリカ音楽愛好家・DJ
毎年アフリカへ通っている内に出会った大好きな現行アフリカ音楽を広めるべく、日々SNS等で情報発信中。

Khuli Chana『One Source』(2017 | 南アフリカ)

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南アフリカの重鎮ラッパー、クリ・チャナのコンセプト・アルバム。アフリカ各国の気鋭アーティスト達とコラボし、音楽のみならずアートワークやMVも含めた全てで、アフリカで激しく燃えているクリエイティブの炎を表現している。全ての創造の源であるアフリカは、新しい炎を燃やし続けている。今間違いなく一番熱い大陸で生き、新しい作品を生み出し続ける彼らの情熱と誇りを感じる作品だ。

Batuk - Call Me Naughty ft Nandi Ndlovu (2016 | 南アフリカ)

南アのスポーク・マタンボを中心に結成されたユニット、バトゥークの代表曲。「あのドリンクは私を気持ち良くしてくれる……パーティーが好き」という内容の歌詞や、ループ動画を組み合わせたふわふわした映像は、パーティーに付きものの酒やドラッグに酔った状態を表現しているよう。一方でドラッグも犯罪も醜いと歌い、音楽そのもので十分ハイになれるという音楽愛によって集まった彼らの言いたい事がよくわかる。


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