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[2019.04]【連載 それでもセーヌは流れる 123】「ジュテーム・モワ・ノン・プリュ」の50年

文●向風三郎

 この原稿を書いている3月2日はセルジュ・ゲンズブール(1928〜1991)の命日であり、あれからもう28年の月日が流れたのだ。ゲンズブールは62歳でこの世を去ったが、私は今やゲンズブールよりも年上になってしまった。この日も彼が眠っているペール・ラシェーズ墓地には多くのファンたちが詰めかけているようだが、私はそこまでの熱心な信奉者ではない。しかし、この二、三十年で、私が公に発表している日本語の文章の総数で、ゲンズブールに割かれた行数は他を大きく引き離して圧倒的に多いはずだ。異論の余地なくポップ・フランセーズ最大の異才なのだから。

 その絶対的傑作とされる『メロディー・ネルソン』よりも、世界的にはるかに知名度が高いのがジェーン・バーキンとのデュエットによるシングル盤「ジュテーム・モワ・ノン・プリュ」である。このスキャンダラスなレコードがフランスで発売されたのが1969年2月のこと。すなわち今から50年前のことなのである。

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最も一般的に知られているバーキン&ゲンズブール
「ジュテーム・モワ・ノン・プリュ」シングル

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日本盤シングルのひとつ

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日本盤「デカダンス」との
カップリングシングル(レア)

 時期的にはそれから少しずれるかもしれないが、その歌から生まれたとも言えるバーキン/ゲンズブールの一人娘シャルロット・ゲンズブール(1971 〜)は、大人になって歌手/女優として国際的な舞台で活躍することが多いが、外国で人々に父母のことで知っていると言われるのはこの歌のことしかない、と証言している。その世界的名声は、それまで非英語曲を頑なにシャットアウトしていた英国シングルチャートで1位になるという大武勇伝だけでなく、北欧、スイス、オーストリアなど欧州を席巻し、南米各国でも大ヒットする。しかも各国で放送禁止、放送時間制限、購買者年齢制限(未成年に売らない)などさまざまな障害を乗り越えてのヒットである。

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