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[2017.09]島々百景 #19 ジャマイカ

文と写真:宮沢和史

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今から24年前、レコーディングのためにキングストンを訪れた時の写真。右は親愛なる音楽家、朝本浩文(写真提供:宮沢和史)


 前年度から沖縄の沖縄県立芸術大学で非常勤講師を担当している。学校が居を構えているのは琉球時代の中心地首里であり、すぐ隣には首里城、そして周りは城下町の風情が残っていてあちこちに素敵な石畳や歴史的な建造物が見られる。こういう歴史ときれいな自然環境に囲まれた場所でのびのびと芸術を学んでいる学生たちがうらやましく感じてならない。自分も学生の頃に沖縄にもっとハマっていたら島の大学を目指していたかもしれない、と思ったりもする。キャンパスが首里城の敷地に併設されているかのように隣接しているので、時々観光客があやまって学校の敷地に入ってきてしまったり、校舎や塀などが琉球時代の歴史的遺物なのでは?と勘違いしてなのか、記念写真を撮っている人たちも多く目にする。講師という立場だが自分も久しぶりに学びの場にいることが嬉しく、音楽家を目指すあまり、学生時代は音楽一本で過ごしていてろくに学校で学ばなかった自分の4年間を取り戻すかのような気持ちもありながら、毎回学校へ行くことを楽しみにしている。比嘉康春学長は琉球古典音楽の大家でもあり、沖縄の楽器である県産の三線を伝統工芸製品の指定を目標にブランド化することによって、三線職人を取り巻く環境、地位の向上も目指そうとする〝県産三線普及ブランド化委員会〟に宮沢と共に名を連ねている。楽器を作る人たち、演奏する人たち、そして、次世代を担う学生たちとが交流させ、材料である黒檀の枯渇問題も含め三線を取り巻く様々な問題を共有することによって、自分たちの事として考え議論する場を増やすことに尽力されている方である。

 

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