[2020.02]ダンスの時代 〜世界に広がるダンスの新潮流〜
文●若杉 実 text by MINORU WAKASUGI
〝目に見える魂〟、それがダンスの正体である。魂を見るため、人間は思い思いのダンスをする。知らない者同士が互いに敬意を払い、肩を寄せ合い、知らず知らずダンスはそのように国境を越える。肌の色に違いはあれど、魂の色に違いはない。だから世界はダンスにあふれ、互いに手と手を取り合えるのだろう。
一例として、近年ラテン圏でヒットした楽曲を俎上に載せてみる。
ロサリア「Malamente」
マウロ・カタリーニ「Eu to Maluco」
パブロ・ヴィタール「Flash Pose」
アヤ・ナカムラ「Pookie」
MVを観ればわかるが、以上に共通する〝ダンス〟以外、アーティストの国籍、歌の内容、世界観は一致するものではない。「Malamente」(ロサリア)のようにシリアスな歌詞もあれば、マウロ・カタリーニのように色欲にもだえる音楽もある。しかし共通するダンスはそのように、あらゆる精神、感情を残さず享受し、人間の根源的な熱量に変えてしまう。人間が魂を計り知れないものとして体内に秘めるかぎり、情炎に身を焦がす営為はなくならない。
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