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[2020.04]島々百景 #49 台北

文と写真:宮沢和史

台北

 初めてリオデジャネイロに渡ってから25年……。もはや、はっきり数えられないが、その間に30回近くは南米を旅しているはずだ。首の椎間板に問題が生じ何年間かのブランクはあったが、このところ年一回のペースで訪れている。当たり前の話だが、ブランクの間にすっかり変化したなと感じた部分もあれば、相変わらずだなぁ、と妙に安心する部分もある。南米の旅だけで単純に30周近く地球を回っていると考えると感慨深いものがあるが、南米と一言で言い切るのもどうかと思う。何しろ南米はとてつもなく広い。国によって、いや、街によってもその差異は大きい。南米諸国を全て回ったわけではないので偉そうなことは言えないが、アンデス山脈が絡む国々はインカのケチュア族の文明、文化を基本に征服国スペインの他文明が流入し、各地独自の文化を展開させてきた。ブラジルは先住民族社会にヨーロッパのいくつかの国が流入し、最終的にはポルトガルが支配することとなる。彼らは労働力としてガーナやコンゴ人などの大量のアフリカ移民を強制的に連行し、そのアフリカ系の人たちと交わることで褐色の混血者であるムラートを生み出していった。というようにブラジルは成り立ちからしてミクスチャーであり、その後ヨーロッパやアジアからの移民を大量に受け入れ、様々な民族が混じり合い、ブラジル人という他地域に類を見ないミクスチャーな国民性が特異で独自な文化を広大な大地で発展させてきた。アルゼンチンは早い時期にアフリカ系奴隷を解放したためアフロ文化は影が薄く、スペイン系、そしてイタリア系の移民が人口の多くを占めることから、インディオ系の文化を残しつつも、ラテンヨーロッパの影響が社会、文化を形成している。〝南米のヨーロッパ〟と呼ばれる所以である。『ラティーナ』の読者の皆さんに説明するまでもない話を先ほどからしているが、同じ国の中でも地域によってその成り立ちは異なり、おのずと大きな差異が生じている。自分は文化が混ざり合う歴史、地理から生まれ出た音楽に興味を持つことが多いので、これまで、自分にとって南米は多いなる学びの場であったし、今尚影響を受け続けている。

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