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[2020.03]アルゼンチン音楽の未来を担う グループと期待される クリバスが待望の初来日

文:宮本剛志 Text by Takeshi Miyamoto

 クリバスはアルゼンチンのブエノスアイレスから程近い小都市、ラ・プラタのモダン・フォルクローレ・グループだ。だったと言っても問題ない。1st『La hora diminuta』ではアカ・セカ・トリオやカルロス・アギーレ以降のモダン・フォルクローレにハファエル・マルチニなどブラジルの現代ミナスからの影響を受けたサウンドを20歳前後の年齢で発表したことで日本では一躍新たなアルゼンチン音楽を背負っていく存在として認知されるようになる。しかし2nd『Las cosas』で大きく音楽性を変え、歌を中心にしながらも器楽的なアレンジを施し、より深化したといえるサウンドを手に入れた。一方で1stにあった明るさが消えてしまっていたことが残念でもあった。しかし新作である3rd『La ofrenda』では1stのような朗らかさを再獲得している。シンガロングな「Bendita」、高みへ昇っていくような美しいメロディーの「Las tres Marias」など、新たな名曲を多分に含んだ傑作だ。しかし特に大きいのがキューバのボレロやスペインのフラメンコなど、スペイン語圏の音楽の影響を素直に表現しているところだろう。もはや彼らの音楽はフォルクローレという枠では括ることができないものとなった。

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 ここで改めてメンバーを紹介したい。ソングライターで、歌手、ピアノを演奏するのが、リーダーでもあるフアン・フェルミン・フェラリス。彼はクリバスだけでなく2019年にソロ作である『35mm』でもミュージックコンクレートを取り入れた民族的ジャズ作を発表している。結成時からのメンバーであるギタリストのニコラス・パディンは現代音楽や電子音楽を学んでおり、今作のレコーディングエンジニアを務めたのも彼だ。同じく結成時からのメンバーであるドラムのホアキン・メンディ。彼はマリアノ・カンテーロ(アカ・セカ・トリオ)の弟子であり、インデーロックバンドなどでも演奏している。2ndアルバムから参加しているアコーディオン奏者のフェデリコ・アギーレは、すでにソロ作を3作リリースしており、最新作の『Barrio』はデジタルリリースのみであるもののリリースされたばかりだ。本作からメンバーとなったコントラバス奏者のディエゴ・アメリセは気鋭のフォルクローレ・グループ、Don Olimpioやタンゴのグループで活動している。今回のインタビューはメンバー全員でと伝えていたが、個別ではなくグループとしての回答が届いたのも、アレンジを即興的に全員で行うというクリバスらしい。

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