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[2019.12]【連載 それでもセーヌは流れる 131】ジェーン・バーキンの 極私的日記を読む・2

文●向風三郎

1) ジェーン・バーキン『ポスト・スクリプトム』(ファイヤール社刊2019年10月)

ジェーン・バーキン『ポスト・スクリプトム』

(ファイヤール社刊2019年10月)

 今からちょうど1年前、本連載は『ジェーン・バーキンの極私的日記を読む』という記事だった。ジェーン・バーキン(1946〜)が11歳の時から誌していたごくプライベートな日記を編集した本『マンキー・ダイアリーズ』(1957〜1982)の紹介だったわけだが、その1年後その第二巻めにして完結編のジェーン・B日記『ポスト・スクリプトム』(1982〜2013)が刊行された。上下巻合わせて800ページの大著になった。日記第一巻は80年9月にジェーン・Bがヴェルヌイユ通りのゲンズブール邸を出ていき、ジャック・ドワイヨンという同世代の映画作家と新生活を始めるという、大転換期の到来をもって終わる。いわば「ゲンズブール期」の終わりであった。図式的に私たちは「ポスト・ゲンズブール期」が第二巻に来ると思っていたのである。この見方は芸能記者的であり、ゲンズブール信奉者的でもある。つまり稀代の鬼才芸術家ゲンズブールと別れたジェーン・Bに何が残っているのか、という人格軽視である。ところがこの上下巻の日記800ページでわかるのは、ジェーンにとってゲンズブールの重要度は計り知れないものだが、彼女の大部分に及ぶものではないということ。ゲンズブールとの絡みのみで彼女を推し測ろうとすると、はみ出る部分の方がずっと多いのである。

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