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[2019.07]ミナスの歌声セルジオ・サントス 〜キャリア初のカバー集『São Bonitas as Canções』 アンドレ・メマーリのプロデュースによるワールドクラスの名作誕生

文●TOYONO

 ミナス出身のSSWセルジオ・サントス。パウロ・セーザル・ピニェイロとコンビを組んだデビュー作にして名盤『Aboio』((1995)より着実にキャリアを重ね、また彼の持つ世界感にミュージシャンからのラブコールも多い素晴らしいアーティストである。

 深淵な雰囲気が美しいアートワークの彼の新作が届いた。今作はギターを弾かず歌声に徹したキャリア初のカバー集。自身の曲作りにおいて影響を受けてきたリスペクタブルなブラジル楽曲を採り上げているが、結果的に「ブラジル音楽」のカテゴリーに収まらず「音楽」として世界中のどこで聴かれても愛される、まさしく「ミナスの歌手の中で最も美しい声」で世界に勝負した作品と仕上がっている。今までのセルジオは「新曲」で新鮮さを表現してきたが、今作ではその部分を排除したからこそ歌声やサウンドメイキングに新鮮さと審美眼が集中した。この作品の素晴らしさを紐解く為に話を聞いた。

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