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[2018.01]島々百景 #23 屋久島

文と写真:宮沢和史

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 長い間たくさんの人たちから勧められてきたのになかなか行く機会のなかった島がある。鹿児島県の屋久島だ。学術的に琉球弧の一部と言ってしまっていいのかどうか定かではないが、最西端の与那国島から鹿児島県本島へ島々が点在する諸島群の最北端に位置する島である。皆さんご存知の通り、何百年もの樹齢の屋久杉(縄文杉)を代表とする木々が鬱蒼と茂る緑豊かな森が広大に広がる秘境…。屋久島が大好きなある知人は、とにかくトレッキングが楽しい。何時間もかけて縄文杉の巨木を目指して日本に残る数少ない秘境、原生林を歩いていると人間の小ささ、愚かさを知る。そんなことを言っていた。世界遺産に認定されてからは屋久島の魅力を耳にする機会が多くなった。大自然の中をかき分けて歩くのが好きな自分としては大変興味深く大きな関心を持っているにも関わらずこれまでご縁がなく、自らの意思で足が向かないのは、どうやら音楽が聴こえてこないからなんだと思う。今までの自分の旅の目的、仕方を振り返ってみると、やはり、先ず音楽を中心とする文化、芸術への興味が生まれ、その文化がどのような土壌に暮らす人達から生まれたのかに次の関心が移行し、現地調査。という流れで旅に出ることがほとんど。要するに自然の美しさ、素晴らしさなどに魅了されるのは、人間が生み出した無形の宝物に関心を寄せた後のようだ。


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