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[2019.10]ブラジルのボサノヴァ、MPB、及びアメリカン・ジャズとポップ・サウンドに対する情熱で結ばれたデュオ コエーリョ & リドネル

文●編集部
text by LATINA

 10月に来日ツアーを行うブラジル人とアメリカ人のデュオ、「コエーリョ& リドネル」。彼らの音楽の謎を紐解くべく、2人にインタビューを行った。

── お互いの第一印象について教えてください。

デイブ・リドネル 2010年にサンフランシスコのバーで出会いました。私はちょうどその時、シコと同じブラジルの町、ピラシカーバ出身の女性歌手と一緒にライヴをしていました。シコは今、私たちのアルバム『Sunny Day』に入っている彼の曲 「Estrela」を歌って参加しました。私はその時、このクールなブラジリアン・キャットと話をすることに興奮したのを覚えています。私たちはお互いに影響を受けた音楽について語り合いました。私は彼が口にしたブラジル人アーティスト以外のアーティスト、トム・ウェイツ、ビートルズ、 スティーヴィー・ワンダー、チェット・ベイカーに驚きました。二人でお気に入りのブラジル人アーティスト、ジョビンや他のアーティストについて語り、そして私が死ぬほど愛しているジョアン・ドナートに言及すると、 シコは彼のトレードマークである深い声でこう応えたのです。「ジョアン・ドナートは私のマスターです!!」私はこの言葉を決して忘れません。その瞬間に私はこの男と音楽を作りたいと思ったのです。

シコ・コエーリョ 初めてデイブに会ったとき私は、アメリカ人の男がクオリティの高いブラジル音楽をとても気に入っているのは超クールなことだと思いました。私たちは彼が話していたクールなバーで最初にジャム・セッションをして、その次は私のアパートからスカイプを使って私が持っているブラジルのバーに中継放送するギグに彼を招待しました。私たちは初めての曲をリハーサルなしで、ただ心の赴くままに演奏しました。そうして友達になり、一緒に曲を作り始めたのです。快適に一緒に作曲できる人間を見つけることはかなり難しいことでした。でも私たちはやりました。まるで夢のようでした。突然Jazzyで、いい音ができました。Wow! デイブはギターが光る曲を作るクールな作曲法を知っているんです!

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── ブラジルとアメリカの影響は、あなた達の音楽に、どのように織り交ざっているのでしょうか?

デイブ・リドネル 常にこの2つの世界をブリッジするオリジナルの音楽を作り出すために、シコと一緒に働いていることを誇りに思っています。これは全く、一切強制されていない、有機的な共演であるとしか言いようがありません。これらの二つの音楽の綱が一緒に編まれる一つの方法は、二人で実際にギターをプレイすることです。一緒に演奏するときシコは、主にブラジルで〝violão〟として知られているナイロン弦ギターを弾きます。〝violão〟は暖かい音で、ジョアン・ジルベルトのボサノヴァのリズムの重要な部分でもあります。シコの 〝violão〟の音色は、非常に素晴らしく、古典的な音楽教育からというよりは、ストリート由来のクールな感触を持っています。私はシコの音に、より一般的なアメリカのギターの音、チャック・ベリーが有名にした古いギブソンの半中空体の音を対比させるのが好きです。ブラジルとアメリカの鎖を織りなすもう一つの方法は、英語とポルトガル語の両方で歌うことです。シコは最近、英語で曲を書くことを楽しんでいて、私たちは1つの曲の中で両方の言語を統合しようとしています。

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