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[2018.06]【連載 TÚ SOLO TÚ #218】プエルトリコを代表する、当代随一のサルサ歌手 ビクトル・マヌエル、最新アルバム『25/7』をリリース!

文●岡本郁生

 プエルトリコを代表するサルサ歌手、ビクトル・マヌエルが、最新アルバム『25/7』をリリースした。

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 〝24/7〟といえば、1日24時間・週7日・休みなしに、という意味になるだろうが、ではいったい〝25〟とは? ……そう!1993年、アルバム『フスト・ア・ティエンポ』でデビュー以来、今年がちょうど25年になるのだ。これをモジっての『25/7』なのである。

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アメリカフロリダ州、オーランドでのライヴポスター

 93年といえば、マーク・アンソニーがサルサ界にデビューして一大センセーションを巻き起こした年である。それまで、ハウス/フリースタイルの世界で活動し、マスターズ・アット・ワークの〝リトル〟ルイ・ベガとの共同名義のアルバムも発表していたマークは、92年、ティト・プエンテのアルバム100枚リリース記念コンサートに出演。このときサルサを歌ったことがきっかけとなって、『オトラ・ノタ』でデビューを果たした。セルヒオ・ジョージがプロデュースをつとめ、RMMレーベルから出たこの作品は一気に世界的な注目を集め、マーク・アンソニーは時代の寵児となったのである。

 サルサ・ロマンティカが全盛となっていたプエルトリコはともかく、80年代後半からニューヨークでは、サルサという音楽自体が存亡の機に立たされていた。若いラティーノたちはサルサには目もくれず、ダンス・ミュージックに入れ込むようになっていたのである。そんな中で、プエンテの100枚目、そして同じくハウスから転向したインディアのサルサ・デビュー(しかもエディ・パルミエリとの共演で)に続くマークの大成功によって、ニューヨーク・サルサは完全に甦った。まさに新世代のサルサが誕生したのである。

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