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[2019.06]島々百景 #40 『島々百景』第1刊のあとがきにかえて

文と写真:宮沢和史

徳之島での唄会


 旅をして渡った島々のことを書き連ねてみたいな、と本誌で何気なく連載を始めて早いもので3年が過ぎた。多くの人は「島」という言葉を聞くと、自分の体験やテレビや映画、雑誌などで見た「島」の〝最大公約数のイメージ〟が一つになって頭に浮かぶのではないだろうか。特に「南の島」と聞くと、椰子の木や、ビーチパラソル、青い海に白い波、そんなアイコンが思い浮かぶことだろう。

 「沖縄」という言葉は少し曖昧なものだと言える。沖縄とは「沖縄県」のことなのか?「沖縄島」すなわち、沖縄本島のことなのか? もしくは、琉球弧の島嶼群を指すのか? みなさんはいかがだろう? 沖縄県民に聞くと、多くの方は沖縄(ウチナー)は「沖縄県」をイメージするとおっしゃるだろうが、沖縄は沖縄島のこと、他所島である宮古島諸島や八重山諸島などはミャークであり、イェーマであり、ウチナーとは異なるイメージである。と答える人が意外と多いはずだ。琉球國の時代まで遡れば先島はそれぞれ個々に治められていた別々の国だったと言っていい。第二尚氏第三代国王尚真王(在位1477~1527)の時代に沖縄本島、そして、先島を含め中央集権体制を確立したのだ。そもそも第一尚氏が沖縄本島を統一する以前は三山時代といい、沖縄本島では三つのクニが北部、中部、南部を統治していた。もっと言えば、三山時代のさらに前は多くの豪族が按司としてそれぞれの地域をクニのような形で治めていたし、三山統一後も尚真王の時代までは沖縄本島が一枚岩になったわけではない。要するに〝クニ〟という単位で沖縄を捉えようとすると、非常に複雑な流れの中で出来上がった概念であると言える。しかし、こういったケースは何も沖縄に限ったことではない。日本本土においても同様だ。

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