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[2018.01]【短期連載】 The Latin Music is a Tramp! #6 ミシェル・カミーロ

文●山本幸洋

 ミシェル・カミーロの新譜『ライヴ・イン・ロンドン』が熱い。コンサート・ホールでソロ・ピアノでライヴと聞いて、クラシカルでいうところのピアノ・コンチェルトか?と思っていたが、基本的には左手でシンコペイトするビート、右手でメロディ、コンボ相当の音数をピアノ一人でやってしまう『ワッツ・アップ?』のライヴ・ヴァージョン+αなのだった。

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撮影/ 山路 ゆか 写真提供/BLUE NOTE TOKYO


ミシェル 元々はコンサートだけだったんだけど、プロモーターが録音すればって言ってくれてね。初めてのソロ・ピアノでのコンサートだったし、クイーン・エリザベス・ホールも初めてだったから、記念にってね(笑)

—— ロンドンには有名なロニー・スコッツなどジャズ・クラブもありますが、コンサート・ホールは格別ですよね?

ミシェル うん、ロニー・スコッツにはピアノ・トリオで出演した、ダフニス・プリエートにリッキー・ゴンサーレス。クイーン・エリザベスは完全アクースティック(ミシェルのブリティッシュアクセント)で、音響は完璧だったし、楽器も素晴らしくて、ボクは完全自由に創造性を発揮できた。

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Michel Camilo『Live In London』(SICX-30053)

—— 『ワッツ・アップ?』のライヴ版?

ミシェル 関連してる。トリオのツアー中だったからトリオのレパートリーを想定してたけど、この日は霊感が働いちゃって『ワッツ・アップ?』で演っていた「マンテーカ」に「アイ・ガット・ザ・リズム」に「フロム・ウィズイン」……全てをぶつけた(笑)。サンドラ(マネージャでミシェルの奥さん)も、今日のミシェルはどうしちゃったの?って心配になったらしいよ(笑)

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Michel Camilo『What's Up?』(SICP-3826)

—— 強靭なタッチ。

ミシェル 午前中のサウンド・チェックでホールの響きとかピアノのコンディションの良さを感じて、本番より長い時間をかけたんだよね。強く大きな音で弾くようにしたら、「サンドラのセレナーデ」の小さい音も綺麗に響いてくるんだ。

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