[2019.04]平成のワールドミュージック ⑥平成26年〜平成31年

●平成26年(2014年)

◆モニカ・サウマーゾの頂点というべき作品

『モニカ・サウマーゾ/コルポ・ヂ・バイリ』

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 モニカ・サウマーゾは1995年の『Afro-sambas』に始まり、2017年までの22年の間に自己名義のアルバムを11枚リリースしており、そのすべてのアルバムが最高のクオリティであるという驚くべきアーティストだ。そのなかで頂点というべき作品が10番目となるこの『Corpo de Baile』である。ギンガの作品集だがギンガに対して一般的には90年代のアルヂール・ブランキとの共作のアクロバチックな作風の印象が強いと思うが、このアルバムではすべてがパウロ・セーザル・ピニェイロの作詞で統一されており、ギンガの作品に対する印象を大きく変化させたのではないかと思う。録音されたことがなく40年間も埋もれていた作品を過去の録音テープから発掘し、収録するなど、知的鋭さと母性的優しさの両面を持つ彼女の歌唱が緻密な弦楽、木管、ギターによるアンサンブルを伴って提示される、聴けば聴くほどに感銘を深くする傑作である。(濱瀬元彦)

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