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[2021.05]宮沢和史【特集 私の好きなブラジル映画】

選・文●宮沢和史

 自分が初めてブラジルに渡った27年前はブラジルの音楽家の過去の映像、例えば、ジョアン・ジルベルトと、トン・ジョビンとヴィニシウスの三人の共演の映像とか、エリス・レジーナのテレビ出演の映像とか、作品化されていないローカルな映像を様々なコネを使って入手し、宝物のようにして観て学んだものだが、今は世界中のどこにいてもあっという間に検索してたどり着けてしまう。さらに、現在は “ディスク” という概念から “サブスクリプション” へと移行しているのを見ても、物を持たないミニマルなライフスタイルへと移行しており、この傾向は資源の大量消費や、物質的グローバリゼーションの弊害が浮き彫りになっている現在においては正しい方向性だと思える。YouTubeも含め芸能・芸術のコンテンツを “年表” で追うのではなく “同列” にアーカイブ化されていることは革命だろう。

 去年掲載した【特集 私の好きなアジア映画】の時に「沖縄の扉を開いた後、その先へ引きずり込まれたのは映画だった」と書いたが、ブラジルに片足を突っ込んだ後、ブラジル文化の深淵に両足を引っ張られたのはヴィニシウス・ヂ・モライスが書いた戯曲『オルフェウ・ダ・コンセイサォン』をフランス/ブラジル/イタリアの製作で映画化し1959年に公開された映画『黒いオルフェ~Orfeu Negro』と、フランスの音楽家ピエール・バルーが1969年にリオで若き日のバーデン・パウエルやパウリーニョ・ダ・ヴィオラらと出会い交流し、当時の才能ある音楽家を取り巻くリオの空気感を真空パックした名作『SARAVAH』だった。どちらも今更自分がここで紹介する必要などない不朽の名作であるが、ここで改めて若い世代にも紹介できたらと思う。

 以下、なるべくDVDやサブスクリプションで鑑賞可能なポピュラーな作品を紹介したい。

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