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[2019.08]ルシアナ・ソウザ インタビュー

文●TOYONO

●ルシアナ・ソウザの影響力

 コンテンポラリージャズシーンのアイコニックな存在であるエスペランサ、グレッチェン・パーラト、ステイシー・ケントなど、ここ数年ブラジル音楽へ傾倒するブラジル国外の歌手の活躍が目覚ましい。かつてはエラ・フィッツジェラルド、サラ・ヴォーン、ディオンヌ・ワーウィックなど錚々たるスター達もブラジル音楽を採り上げているが、あくまでプロジェクトとしての捉え方であった。が、先にあげたアーティスト達は、ブラジルに何度も出向きギンガと共演を重ねるエスペランサなど、意識高くブラジル音楽と向き合い、更に彼女達が最先端シーンで磨き上げたセンス良い音楽性で活動の主軸へと昇華させている、聴き応えのある物だ。

 そういったジャズシーンの変化に注目すると、ルシアナの存在と影響力を考えずにはいられない。

 ルシアナは英語とポルトガル語、どちらでも魅了出来る希有な歌手だ。それは彼女が長年続けてきた、ブラジルとジャズを同じ純度で伝えるからこそなのだと思う。

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Photo by Anna Webber

 私がルシアナを意識したのは、2007年ハービー・ハンコックがグラミー最優秀アルバム賞を受賞した『River~ジョニ・ミッチェルへのオマージュ』からだ。ノラ・ジョーンズやジョニ・ミッチェルと肩を並べ唯一人参加したブラジル人歌手。また『Brazilian Duo』(2003)(ホメロ・ルバンボ、マルコ・ペレイラ、そして父のワルテル・サントス3人のブラジル人名ギタリストとのデュオ演奏アルバム)を皮切りに、これまで6作品がグラミーにノミネートされる快挙を成し遂げている。このデュオ・シリーズは3作品続き「ブラジル音楽女性歌手とギタリスト」というデュオスタイルの、選曲も含めお手本となっているのではないだろうか。そんな輝かしい功績にもかかわらず、ガツガツした感じとは無縁、気品漂う彼女に益々会ってみたくなり、私のラジオ番組で放送する事も含めてインタビューをお願いした。

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写真提供/COTTON CLUB(撮影:山路ゆか)

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