見出し画像

[2018.10]ブラジルフィールドワーク #05 アマゾン シングー川流域 先住民消防団発進!

文・写真●下郷さとみ text & photos by SATOMI SHIMOGO

 いまこの原稿をアマゾンの森に囲まれた先住民族の村でハンモックに揺られながら書いている。NPO法人熱帯森林保護団体(RFJ)の代表・南研子さんに同行して、アマゾン川の主要支流のひとつであるシングー川流域の村々を3週間かけて訪ね歩いているところだ。

 RFJは、森と川の恵みと共に生きる先住民族の支援を通してアマゾン熱帯林を守るという活動を30年に渡って続けてきた。私は通訳やプロジェクトのコーディネータとして協力をしており、2015年からは現地視察の旅に毎年参加している。いくつかの支援事業のうち、森林火災の防止のためカヤポ民族とジュルーナ民族の若者たちが合同で取り組む消防団プロジェクトについて、ホヤホヤの情報をお届けしたい。


森林火災を防ぐ戦い

 ゴーッ、バチバチッと轟音を立てて炎が上がる。乾き切った樹木や草は、大気に渦を生み出しながら恐ろしい勢いで燃え上がっていく。カメラは熱い金属の塊と化して機能をしばしば停止してしまうので、体の後ろに回して冷ましながらではないと撮影もおぼつかないほどだ。

 燃え広がろうとする火を若者たちが必死で止める。消火道具は背負った水タンクから水鉄砲のような仕組みで水をかけたり、スコップで土をかけたりといった、いたってシンプルなものだ。道なき森の中では人力と炎に立ち向かう勇気だけが火災を止める力になる。RFJでは器材の提供や人材育成などの部分で支援を続けてきた。

ここから先は

1,933字 / 5画像
このマガジンを購読すると、世界の音楽情報誌「ラティーナ」が新たに発信する特集記事や連載記事に全てアクセスできます。「ラティーナ」の過去のアーカイブにもアクセス可能です。現在、2017年から2020年までの3.5年分のアーカイブのアップが完了しています。

「みんな違って、みんないい!」広い世界の多様な音楽を紹介してきた世界の音楽情報誌「ラティーナ」がweb版に生まれ変わります。 あなたの生活…