[2019.01]【連載 TÚ SOLO TÚ #225】レゲトンというリズムが核となり、多彩なつながりを見せた 2018年のラテン音楽シーン
文●岡本郁生
2017年はルイス・フォンシとダディ・ヤンキーの特大ヒット「デスパシート」に明け暮れたが、18年はなんといっても、カミラ・カベジョとともに明けたといえる。
1997年ハバナ生まれで6歳のとき家族とともにマイアミに亡命。テレビのオーディション番組から誕生した5人組ガール・グループ、フィフス・ハーモニーのメンバーとして13年にデビューしたカベジョ。2枚のアルバムを発表して脱退すると17年、ソロとしてまずは映画『ワイルド・スピード ICE BREAK』のサントラに参加し「ヘイ・マ」でピットブル、J・バルビンと共演。「クライング・イン・ザ・クラブ」でソロ・デビューし、続く、ファレル・ウィリアムスのプロデュースによる「ハバナfeat.ヤング・サグ」がまずはイギリスでブレイク。年末にかけてジワジワ盛り上がり、ついに18年1月に全米1位を獲得した。ちょうどアルバム『カミラ』もリリースされ、一気にスターの座に駆け上がったのである。
Camila Cabello
そして彼女の勢いは、そのまま、米国のチャートでの、ラテン系アーティストたちに引き継がれた。
中でもっとも注目を集めたのはカーディBだろう。92年、ニューヨークはサウス・ブロンクスの生まれ(本名はベルカリス・アルマンサル)で父親はドミニカ人、母親はトリニダード人である。10代半ばからストリート・ギャングのメンバーとなるが、その後、貧困とDVから逃れるために19歳でストリッパーとなった。彼女にとってはそれが、ひどい状況から抜け出し、教育を受けるための手段だったという。やがて、SNSへの投稿が話題となり、人気リアリティ番組『ラヴ&ヒップホップ:ニューヨーク』にレギュラー出演。15年から本格的に音楽活動を始め、17年、メジャー・デビュー・シングル「ボーダック・イエロー」が全米チャート1位を獲得した。女性ラッパーが〝フィーチャリング〟でなくリード歌手として1位を獲得したのは史上5人目で、ゲストなしの単独曲ではローリン・ヒル以来19年ぶりの快挙。全米チャート1位を獲得した初のドミニカ系アーティストとなった。
18年1月リリースのブルーノ・マーズ「フィネス(リミックス)」で共演し、グラミー賞セレモニーでのパフォーマンスも大きな話題となって、その後は、リタ・オラの「ガールズ」、ジェニファー・ロペスの「ディネロ」、マルーン・ファイヴ「ガールズ・ライク・ユー」、リル・ヨッティー「フー・ワント・ザ・スモーク?」、DJスネーク「タキ・タキ」と、〝フィーチャリング・カーディB〟の楽曲が立て続けにリリース。さらに、夏には、バッド・バニーとJ・バルビンをフィーチャーした本人名義の「アイ・ライク・イット」が大ヒットすることになった。
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