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[2018.05]風を奏でる音楽家のダイアリー #10 作曲(後編)

文●ジョアナ・ケイロス

 私に作曲するよう勧めてくれたのは、アメリカで1年学んだシュタイナー学校の先生だった。ドグラス・モリスという先生で、ジャズについて授業で教えてくれた、さらに社会学も教えてくれた先生だった。私はその先生がとても好きで、彼の言うことは何でも注意深く聞いた。ハーモニーついては彼からたくさん学んだ。あのころ、私にとって音楽はミステリーに溢れた霧中のものだった。彼は私に言ってくれた。「君は君の中にたくさんの音楽を秘めている。いつそれを表現するんだい? 作曲してみたら?」って。17歳でそんな風に言ってもらえることはとても特別なことだった。作曲するって、限られた才能の持ち主に与えられた特権じゃないの?って思った。その後、イチベレ・オルケストラ・ファミリアでの経験、多くの作曲、アレンジの現場を目撃した。たくさんの発見、たくさんの音楽、弦楽器群、管楽器群などを念入りに整えていく作業、実験的なリズム、それらの細かなところまで私たちは間近で見ることができて、ブロックを一個一個理解しながら、 カウンターメロディーや楽譜の一段一段を暗記していった。そのなかでエルメートの音楽の深化の仕方や驚異的で音の数々は素晴らしかった。実践を通じて学ぶことって本当に楽しくて、魅せられちゃう。いつもこうだと良いのに……。

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