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[2017.03]ウォリス・バード|自分の人生をまるごと肯定し、誰かを愛する根源的な喜びと、それを表現する誇らしさを高らかに歌う

文● 大谷隆之
text by TAKAYUKI OTANI 

 昨年12月に2度目の来日を果たし、東京と京都で素晴らしいソロ・パフォーマンスを見せてくれたウォリス・バード。1982年にアイルランド東部のウェックスフォード州で生まれ、現在はベルリンを拠点に活動するシンガー・ソングライターだ。彼女のライヴに足を運ぶたび、存在そのものが表現のような人だなと思う。表情豊かな歌声。小柄な身体から迸る激情と、持って生まれた人懐こさ。鋭いギター・カッティングとストンピングによる圧巻のグルーヴ。演奏スタイル自体には例えばアーニー・ディフランコなどモダンでパンキッシュなフォーク・シンガーの影響も感じられるが、音楽の根っこにある温かみと生命力はむしろ最上質のトラッドに近いかもしれない。また彼女は「伝統的カトリックのコミュニティで育ったレズビアン」という、別の側面も持っている。昨年リリースされた5枚目のアルバム『HOME』は、そういう自分の人生をまるごと肯定し、誰かを愛する根源的な喜びと、それを表現する誇らしさを高らかに歌う傑作だった。最新作を引っさげ来日したウォリスに制作の裏側を聞いた。

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—— アルバムを通して魂の鼓動が響いてくるような、静謐で力強い作品ですね。曲ごとに生々しい感情が伝わってきて、表現者としてひとつ上の段階に進んだと感じました。

ウォリス・バード ありがとう! これまで4枚のアルバムを制作してきて、私自身もようやく求めていた作品を手にできた達成感があるの。一つには今の自分が、とても幸せな状態にあることが大きかったと思う。というのも心から愛するパートナーと出会って、一緒に暮らすようになったからね。2年前の『ARCHITECT』というアルバムでは、私はいろんなものを追い求めていた。本当の愛とか、自分らしい人生とか……。曲作りの面でも打ち込みのビートを導入したり、興味のあることは何でもやってみたわ。だけど今は地に足を着けて、自分を祝福できていると思う。それがサウンドにも反映されたんじゃないかな。

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