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アルゼンチン音楽特集 ラ・プラタ・シーンの今

文/写真●宮本剛志 text & photos by TAKESHI MIYAMOTO

 ラ・プラタのシーンがすごい。ハファエル・マルチニやアントニオ・ロウレイロらが各自のプロジェクトに参加し合っていた頃のブラジルの現代ミナスに匹敵するようなコレクティヴがアルゼンチンに存在するということが徐々に現在日本でも共有されつつある。そのきっかけとなったのがクリバスの登場だろう。フアン・フェルミン・フェラリスを中心とする5人組がアルゼンチンのモダン・フォルクローレとハファエル・マルチニらの影響を受けた管楽器による柔らかく複雑なアンサンブルを組み合わせた作品を発表したのが2014年の暮れのこと。何より驚かされたのがその細密なアンサンブルがセッションによって作り上げられているということだった。その同じ形式で素晴らしいアンサンブルを聴かせていたアルゼンチンのグループといえばアカ・セカ・トリオだ。現在ブエノスアイレスを中心に活動しているが、アカ・セカも元はラ・プラタ国立大学(UNLP)で結成されている。バークリー式の音楽教育を行なっているラ・プラタ国立大学の音楽学科には、国内外から学生たちが集まっているということもあり、ラ・プラタとはアルゼンチン全土や他国から優れた若い才能が集まる街だといえる。それが現在のラ・プラタ・シーンが隆盛を迎えている大きな理由だろう。そこで教えている教師もフェデリコ・アレセイゴルやマルセロ・モギレフスキーといった現役の超一流音楽家たちということからもカリキュラムの素晴らしさがうかがえる。そこでフェデリコの助手として大学で働いているのがフアン・イグナシオ・スエイロだ。彼のグループ、ナディスもクリバスと同じシーンにおり、在籍しているメンバーも一部共有していたことがある。ナディスはジャズをベースにマリア・シュナイダー的なサウンドや現代ミナスのハファエル・マルチニのような室内楽アンサンブルを取り入れた7人組。クリバスと共通しているのは木管楽器の柔らかい音色が大きく扱われているということだ。どちらでも演奏しているのは同じ人物、クラリネット奏者のフアン・クルス・セラサ。彼が参加している作品はすべからず名盤といっていい隠れた重要人物だ。その彼がフェルミンとともに参加しているのがハビエル・ナダル・テスタのセプテート。このグループもクリバスと同じくセッションでアレンジを施したというのが信じられないくらい高いレベルのアンサンブルを聴かせてくれる。クリバスよりもフォルクローレ、ロックに向かった作風なのがハビエルの個性だといえる。

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