[2017.03]再生を繰り返すクレズマー・シーン ~フランク・ロンドンの来日に寄せて~
文●関口義人
text by YOSHITO SEKIGUCHI
現代クレズマーミュージックの牽引者、トランぺッター、バンドリーダー、作曲家であるフランク・ロンドンが5月に来日する。
ヘブライ語でクレ(kli =道具)ズメル(zemer=音楽を作る)に由来するクレズマーは16—18世紀以降、元来の「楽器」の意味合いから東欧ユダヤ人アシュケナージの音楽(家)たちを指すようになった。20世紀初頭には〝Freilech music〟(フレイレフ、東欧ユダヤの言語イディッシュで幸福な音楽の意)などと呼ばれた。しかしクレズマーの語がはじめて録音された音楽に転用されたのはアメリカにおいて1977/78年の〝East Side Wedding and Streets of Gold〟というザ・クレズモリムによる作品、また翌1979年のアンディ・スタットマンとゼブ・フェルドマンによる〝Jewish Klezmer Music〟によってだった。
今回のフランク・ロンドンの来日を機会に、東欧系ユダヤの音楽クレズマーについて、その概要を読者にお伝えしたいと思う。
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