[2020.02]ダンスの時代 ダンサー矢部 良(マイコーりょう) 〜日本に初めてカポエイラを紹介した ストリートダンサーのもうひとつの素顔〜
文●若杉 実 text by MINORU WAKASUGI
マイケル・ジャクソンに夢中になったのが小学六年のとき。80年代に入りブレイクダンスに衝撃を受けると、昨日まではふつうに歩いていた路上が舞台になった。以降ストリートダンスの求道者は、やがてカポエイラの洗礼を受け単身ブラジルへと渡る。帰国後、日本初のカポエイラ団体を設立。いっぽうで、マイケル・ジャクソンのインパーソネーター〝マイコーりょう〟の仮面もかぶる。ふたつの人生を並走させてきた矢部良がここに、初めて半生を明かす。
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── カポエイリスタ矢部良と、マイコーりょうは同一人物。自身が認め発表するのは今回が初めてとなる。
矢部 そうなります。マイコーりょうとして13年やってきた。ぼくのことをよく知っているなら同一人物であることはわかってるし、逆にそこに触れないでいてくれたひとたちが、いまや都市伝説のように語り継いでくれている。自然と受け入れてくれる状態になった。でも、13年前だとそうはいかない。〝おれ、明日からマイケルになる〟っていきなり言ったら、ふつうにみんな引くでしょ。カポエイリスタとしての立ち位置をこわさないためにも線引きだけはしておきたかった。
── やはりマイケルのダンスが原点だったのですか?
矢部 そう、それとブレイクダンス。小六のときスクーターのCMでマイケルが踊るのを観たのが最初。これまで知っていたダンスとはまったく違う。その後『フラッシュダンス』でストリートキッズが踊る場面に衝撃を受けた。千葉の田舎に住んでたけど、近所の駐車場で段ボールを敷き(背中で)回ってましたよ。
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