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[2018.05]パブロ・エスティガリビア タンゴ界を革新をする若き天才ピアニストの新たなる挑戦

文●鈴木一哉

texto por KAZUYA SUZUKI

 女性歌手とピアノ・ソロという編成による質の高いタンゴ・アルバムが今世紀になって少なからず誕生している。ディエゴ・スキッシがリディア・ボルダ(2002)、サヤカ(2006)、ノエリア・モンカーダ(2008)のアルバムの一部を担当しており、マリア・ボロンテと盲目のジャズ・ピアニスト、オラシオ・ラルンベによる傑作『フイモス』(2003)、アドリアナ・バレーラとマルセロ・マクリによる『アドリアナ・バレーラ・イ・ピアノ』(2014)、マリア・エリアの弾き語りによる『デスデ・ミ・ミスマ』(2015)などが記憶に残るが、本誌3月号のディスコガイド欄で紹介したマリア・グラーニャとパブロ・エスティガリビアによる最新作も屈指の名盤となった。このリリースを機会にパブロへのメールでのインタビューが実現した。

 パブロは、2010年にビクトル・ラバジェン・キンテートの一員として初来日しているが、2016年にはセステート・メリディオナルを率いて民音タンゴ・シリーズで全国公演をおこなった。タンゴの伝統の核心を継承しつつ、そこに現在の感性を反映した新鮮さを注入して、自身の独自のピア二ズムを織り込んだスタイルで強烈な印象を日本の聴衆に残した。

—— 日本でのツアー後はどのような日々を送っていたのですか?

パブロ・エスティガリビア 日本公演を終えた数ヶ月後にマリア・グラーニャ本人からクラシックとモダンを融合した作品を作ろうと連絡があったんです。私にとってはまさに夢のようなお話でした。 他にもタンゴの指導にも専念していました。偉大なるマエストロから踏襲したものを次の世代に伝えていくことが重要だと思っているからです。

 マリア・グラーニャは、キャリアの出発点で、まだ20歳だった1973年から75年まで当時のオルケスタ・ティピカの最高峰オスバルド・プグリエーセ楽団の専属歌手を務めるという稀有の体験をしており、80年代には国際的に大ヒットしたショー『タンゴ・アルヘンティーノ』にも参加している。多くの点で対照的な存在アドリアナ・バレーラとともに、この世代の女性タンゴ歌手の筆頭として活躍してきた。歌詞の発声を明確に保ちながらも強い感情表出が漲る重厚な歌唱は文句なしに素晴らしい。

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