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[2019.07]Paula y Los Pájaros バンドとしてのパワフルなサウンドを獲得した 『Lo invisible(目に見えざるもの)』

文●宇戸裕紀 text by HIRONORI UTO

 2015年リリースのファーストアルバムでじわりと日本のアルゼンチン音楽ファンの心を掴んだマリア・パウラ・トーレ率いる「「パウラ・イ・ロス・パハロス(パウラと小鳥たち)」。2017年には自費で来日し、コトリンゴとレコーディング、2018年にはアルゼンチンを訪れたコトリンゴと共演を果たすなどその並外れた行動力で一躍日本の「コトリ関係者」にその名を知らしめた。ソフトなタッチでリズミカルなファーストから一転、パワフルでより完成されたサウンドに仕上がった新作に込められたメッセージとは。

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── 『Lo invisible(目に見えざるもの)』はどこかサン・テグジュペリの『星の王子さま』を思わせるタイトルですね。存在は確かにするけれど目に見えない……どういった意味が込められていますか。

マリア・パウラ・トーレ 曲が一曲ごとにかなり異なるので、全曲をつなぐ導線を見つけてタイトルを探し出すのに時間を要しました。突発的な勢いに任せて録ったファーストとは対照的に、2作目はプロデューサー(Martin Jota Yublo)と念入りに練っていったということも大いに関係しているでしょうね。ある日、編集が終わるまでの今までの経験、感情、築き上げてきたもの、学び取ってきたものが溢れてきました。全く目に見えないはずのものが自分の目の前に現れ、アルバムとして生を宿していきました。

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