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[2018.02]【短期連載】 The Latin Music is a Tramp! #7 アリューン・ウェイド & ルイ・アドリアン・ロペス・ヌッサ

文●山本幸洋

キューバン・ジャズの若き旗手ハロル・ロペス・ヌッサは、ダンサブルなキューバン・ビートと、親しみやすいメロディと明晰なアドリブ展開で国内外にファンが多い。ここ3年はキューバン・ジャズを基調としつつセネガルのメロディと言葉を交えたピアノ・トリオ+ヴォーカル(本誌14年9月号も参照)でコットンクラブに出演しており、今回は趣向を変えてハロル本人への取材ではなく、実弟でドラマーのルイ・アドリアン・ロペス・ヌッサ、ベース&ヴォーカルのアリューン・ワドゥにそれぞれ話を聞いた。(17年9月13日、都内にて。協力:コットンクラブ、通訳:坂本悠)

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写真提供/COTTON CLUB  撮影/ 山路 ゆか

ライヴ〜イントロ

 仙台のMiyagi Autumn Jazz Live 2017(9月9日)と定禅寺ストリートジャズフェスティバル(9月10日)の後、コットンクラブ(9月12〜14日)に出演した。まずまずハードワークと言えそうだが、一行の移動は東北新幹線を利用し、快適に過ごせたそうだ。

 私はコットンクラブ2日目のファースト&セカンド両ステージを観た。近作①を中心に、ファーストがFeria、Me Voy Pá Cuba、Mozambique en Mi B、Mama、Los Muñecos、New Day〜El Manisero、Bacalao Con Pan、Lobo's Cha、セカンドがFeria、Me Voy Pá Cuba、La Jungla、Mama、Los Muñecos、New Day〜El Manisero、Lobo's Cha、Bacalao Con Panでそれぞれ1時間強、スタジオ録音に比べて即興要素が多く、しかもエネルギッシュ。やはりライヴは格別だと思った。惜しむらくは2ステージでほぼ同じレパートリーだったことで、このトリオの2年前の主要レパートリーだった⑤収録曲や代表曲「Bailando Suiza」を組み合わせればさらに良かった。

ルイ・アドリアーンに聞く

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ルイ 86年ハバナ生まれ。8歳でピアノを始めて、10歳からドラムも始めた。ピアノは音楽学校の必須科目、ドラムはパパ(同名でルイ)から教わって、朝から晩まで練習して楽器の脇で眠ってた。

—— 学校ではクラシカルだけですね。

ルイ 基本的にクラシカル。中学のときの選択科目で2年間だけパーカッション全般を習うことができたよ。ボクのパパはその教師でもあったんだけど、ポピュラー音楽での演奏を教わるのは放課後だったね。

—— お父さんのメイン楽器は?

ルイ ドラム。いま60歳になったところ。

—— ティピカルなソンはパーカッション・アンサンブルですが、それを一人のドラマーで担うとドラマーの個性がけっこうでると思うんです。ルイさんの特徴は?

ルイ 自分のことはよく解らないから、演奏するときに重要視していることを話すね。まず、リズムよりメロディやハーモニーを重視しているよ。打楽器というよりピアノを演奏するイメージでね。クラーベとかアンサンブルの仕組みは理解した上で、一般的な楽器の使い方だけにとらわれないで自由な演奏をするように心がけてる。キューバのパーカッションはもちろん、フラメンコ用のカホンを使うのが大好き。

—— ステージで使ってますよね?

ルイ うん、ルンバで使うものよりフラメンコ用の方が音の拡がりが良いんだ。

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