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[2021.04]【太平洋諸島のグルーヴィーなサウンドスケープ⑨】こうして、ミステリーツアーが始まりました ―パプアニューギニア in 1993―

文●小西 潤子(沖縄県立芸術大学教授)

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 パプアニューギニアと聞いて、どんなイメージが浮かびますか?テレビ番組で紹介される「不思議の国」?それとも、ギニア共和国と名前が似ているのでアフリカ??―パプアニューギニアは、地理的にはインドネシアの東、オーストラリアの北、ニューギニア島の東半分と周辺の島々からなる島嶼国で、文化的にはメラネシアです。

 1980年代半ば前後、そのパプアニューギニアが大阪大学文学部音楽学研究室でちょっとしたブームでした。民族音楽学の山口修先生と藤田隆則さんが、東セピック州チャンブリ湖周辺の共同調査に参加したり、山田陽一さんがセピック丘陵のワヘイの人々の音文化を調査したり…。私も、カセットから笛の二重奏を聴き取って五線譜にし、マウントハーゲンから来日した女性のお買い物にも連れ添いました。ソーラーパネルなどまだ夢だった頃、太陽電池で充電したとか、胸まで浸かって川を歩いて渡ったなどの冒険談を聞きました。そして、山口先生、山田さん、藤田さん、卜田隆嗣さんが、S. フェルドの名著『鳥になった少年』を翻訳出版しました。

 S. フェルドは、サザンハイランズ州ボサヴィのカルリの人々を調査し、その音表現と鳥の分類との結びつきに注目しました。そこには、未知の音の世界が広がっていました。

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