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[2020.08]【「ラ米乱反射」電子版 第1回】ボルトンが暴露したベネズエラ工作 ─トランプはグアイドーを軽視

文●伊高浩昭(ジャーナリスト)

 ドナルド・トランプ米大統領の安全保障担当補佐官(2018年4月〜19年9月)だったジョン・ボルトン氏がさる6月に刊行した『それが起きた部屋:ホワイトハウス回顧録』には、「自由ベネズエラ」という一章がある。同章は逸早くスペイン語に翻訳され、ベネズエラをはじめラ米(ラテンアメリカ)諸国で報じられた。私(伊高)はこれを7月初めに読んだ。


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 中心的内容は、ベネズエラ国会のフアン・グアイドー議長が2019年1月、首都カラカスの街頭で「大統領代行」就任を一方的に宣言、これをトランプ政権が「暫定大統領」として承認したこと、および、その前後に起きたさまざまなエピソードである。そんな内容の主な部分を、記述を時系列的に整理して紹介したい。

▼ドローン爆弾事件

 トランプは就任した2017年の8月、「ベネズエラ問題解決への軍事的選択肢」を口にした。1年後の2018年8月、ベネズエラ国軍(FANB)の一翼を担う国家警備隊(GN)の記念式典に出席していたニコラース・マドゥーロ大統領の上空でドローン爆弾が爆発。大統領ら要人らは無事だったが、兵士ら数人が軽傷を負った。事件は軍部内に反対派が多いことを窺わせた。兵士らは驚いて逃げ去った。

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