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[2019.01]ブラジルフィールドワーク #08 ファヴェーラ・シャクリーニャ リオデジャネイロ バドミントンで未来を拓く

文・写真●下郷さとみ text & photos by SATOMI SHIMOGO

 リオデジャネイロ市の中心部から西へ車で1時間。タンキ地区の小高い丘にあるファヴェーラ・シャクリーニャ。ここではバドミントンという、ブラジルではほとんど知られていないスポーツを「武器」に子どもたちの未来を切り開く活動が行われている。

 8月にブラジルへ渡航する直前に、たまたま点けたテレビのニュース番組で、活動を紹介する10分ほどのルポを見た。ファヴェーラの子どもたちを対象にしたバドミントン教室であること。ここから2016年のリオデジャネイロオリンピックに選手を輩出したこと。そしてその後のことが語られていた。

 番組を見ながら「アスリートの養成が活動の第一の目的ではきっとないはず」と思った。それを確かめたくて、帰国直前の10月に訪ねてみた。やはり直感の通りだった。


「バドミントンって面白い」

 シャクリーニャは住民数およそ5000人。市のはずれのこの小さなファヴェーラに1998年に設立された団体「MIRATUS(ミラトゥス)」が活動を展開している。現在、5歳から20歳前後のおよそ150人が、学校が終わった後の時間にここに通っている。MIRATUSの活動には大きく2つの柱がある。ひとつが教育活動。もうひとつがバドミントンだ。

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