見出し画像

[2019.08]サカキマンゴー 〜ビンテ・クライ! (頭に来た!) 日本が世界に誇る親指ピアノ奏者、6年ぶりのフル・アルバムでモノ申す

文●松山晋也 text by SHINYA MATSUYAMA

 日本が世界に誇る親指ピアノ奏者サカキマンゴーがニュー・アルバム『ビンテ・クライ・ベイベー』を発表した。多国籍ユニットのクアトロ・ミニマルによる『ラ・コラ・デル・ドラゴン』から4年、ソロ名義作品としては『カライモ・リンバ』から6年ぶりだ。

画像1

 今作は演奏も歌もプログラミングを含む編曲もすべて一人で手掛けた完全ソロ・ワークということもあり、演奏家/作曲家としてのサカキマンゴーの全体像がこれまでになくクリアに打ち出されたものとなっている。更に、ゴッタン(南九州に伝わる板張り三味線)を初めて本格的に用いたり、鹿児島弁がますます多用されたりと、ルーツ(サカキは鹿児島県最南部の頴娃町出身)コンシャス度の強化も見逃せない。ちなみにアルバム・タイトルの「ビンテ・クライ」は鹿児島弁の「びんてくらい(頭にくるぜ!)」から。

── 『カライモ・リンバ』の冒頭でもゴッタンをちょっとだけ弾いてたけど、今回は「おタミくどき~荒武タミ顕彰歌」と「ハレバニイ」の2曲で弾きまくってますね。

マンゴー ゴッタンはここ数年、ライヴでもかなり弾いてきました。その流れの中でゴッタンの曲ができちゃったので、録音したという感じですね。「おタミくどき」は、荒武タミさん(1911─92鹿児島の盲目のゴッタン奏者)の自伝的持ち歌「お夏くどき」の中に出てくる民謡「よのえ節」の節に僕が自分で「おタミくどき」という歌詞を付けたものですが、ちょっとクンビアっぽくやってみた。

続きをみるには

残り 2,338字 / 6画像
このマガジンを購読すると、世界の音楽情報誌「ラティーナ」が新たに発信する特集記事や連載記事に全てアクセスできます。「ラティーナ」の過去のアーカイブにもアクセス可能です。現在、2017年から2020年までの3.5年分のアーカイブのアップが完了しています。

「みんな違って、みんないい!」広い世界の多様な音楽を紹介してきた世界の音楽情報誌「ラティーナ」がweb版に生まれ変わります。 あなたの生活…