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[2018.09]特集:ワールド×ジャズ ジャズとインド音楽

文●高橋健太郎 text by KENTARO TAKAHASHI

 ブルックリン在住のギタリスト、ラフィーク・バーティアの新作『ブレーキング・イングリッシュ』が話題だ。現在30歳のバーティアはアメリカ生まれだが、家族は東アフリカを経由してアメリカに移民したインド系。同じくインド系のジャズ・ピアニスト、ヴィジェ・アイヤーの支援を受けて、2012年に最初のソロ・アルバムを発表しているが、6年振りの新作では自身のトリオを中心としつつ、ジャズの枠を大きく超えて、フライング・ロータスにも比肩するようなヘヴィーでダークでエクスペリメンタルな音楽宇宙に到達した。

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Rafiq Bhatia

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Rafiq Bhatia『Breaking English』(2018年)

 バーティアはフライング・ロータスのファンであると同時に、フライング・ロータスの叔母だったアリス・コルトレーンがインド音楽に傾倒した時期の諸作にも影響を受けているようだ。『ブレーキング・イングリッシュ』のクレジットを追っていくと、ブルックリン在住の若いインド系ミュージシャンのサークルにも辿り着く。思えば、昨今、僕が聴いている音源の中にもジャズとインド音楽の要素を合わせもつものが増えていて、何か予感めいたものを感じていた。

 といっても、「ジャズとインド音楽」というテーマはあまりに巨大で、どこから手を付けて良いか解らないというのも正直なところだ。そもそも、僕はジャズについてもインド音楽についても専門知識は乏しい。ゆえに、本稿は雑食的なリスナーである僕の耳にとまった「ジャズとインド音楽」の一断面くらいのものとして、読んでもらうのが良いかもしれない。

 ジャズとインド音楽のフュージョンと聴いて、僕がまず思い出すのはジョー・ハリオットとジョン・メイヤーのダブル・クインテットが1966年に発表した『Indo Jazz Suite』だ。ジョー・ハリオットはジャマイカ出身のサックス奏者。スカタライツより前の世代のジャマイカ・ジャズの先人で、50年代に渡英して、以後はUKジャズ・シーンで活動した。ジョン・メイヤーはインド出身の作曲家/弦楽器奏者で、二人は60年代後半のイギリスでまさしくインド音楽とジャズの融合をテーマにした音楽を生み出した。

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