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[2018.10]日本人はなぜタンゴを愛したのか。新書「タンゴと日本人」が明らかにしたその真実 ~著者・生明俊雄氏に聞く

文●西村秀人 text by HIDETO NISHIMURA

 集英社から新書で「タンゴと日本人」という本が出た。著者の生明俊雄(アザミトシオ)さんは、ビクターの洋楽部長・映像制作部長を歴任された後、大学で教鞭をとられてきた人物。私は20年ほど前に日本ポピュラー音楽学会の大会で知り合い、その縁で「タンゴ・エン・ハポン~日本のタンゴ先駆者たち」「日本ラテン音楽の軌跡」という貴重な音源の復刻シリーズを1999年にビクター・エンタテインメントで企画・監修するきっかけを作っていただいた。その後「ポピュラー音楽は誰が作るのか 音楽産業の政治学」(2004年)、「二〇世紀日本レコード産業史: グローバル企業の進攻と市場の発展」(2016年)というレコード産業の第一線におられた人物ならではの知見を生かした2冊を上梓されていた。今回はこれまでの2冊とは異なり、長年愛好してきたタンゴに関する書籍である。

── タンゴに出会ったのは学生時代ですか?

生明俊雄 そうですね。子供の頃から両親の勧めでピアノをやっていましたが、タンゴは全くでした。大学に入って、ピアノを使った音楽をやりたいなと思っていたら、「初心者歓迎」とあったのでタンゴ・ワセダを選びました。

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