見出し画像

[2018.07]世界のヒップホップ CRIOLO インタビュー

インタビュー●ヂエゴ・ムニス by DIEGO MUNIZ

 2011年、ブラジルはクレベル・カヴァルカンチ・ゴメスを知ることになった。そのまたの名は、クリオーロ。すでに20年ライムの世界に存在していたサンパウロ出身のラッパーは、ラップのエッセンスを失わずにラップというジャンルを越え、社会現象と化した。『Nó na Orelha』はサンバ、ファンク、アフロフビートなどのリズムをビートやサンプルに調合し、人々の心を動かした。

「クリオーロは冒険的に他の音楽スタイルに浸り、彼特有のスタイルを確立した、ブラジルのラップ界の代表的なアーティストだ。どのようなスタイルの音楽を歌っていようと、MCとしての存在感をもっている」とプロデューサーのダニエル・ガンジャマンは評価する。

 全般にわたりサンバを取り入れた作品『Espiral de Ilusões』(2017)においても、郊外の貧困地区のクロニクルや社会的なテーマがリリックに表現されていた。それは、クリオーロ現象の唯一の特徴ではない。ヒップホップファンを他の音楽ジャンルに導き、またラップをブラジル全土の大衆に聴かせた。ラップとポピュラー音楽との架け橋をつくった人物でもある。彼のヴァース(節)はシコ・ブアルキのライヴで歌われ、ミルトン・ナシメントや、彼自身カエターノ・ヴェローゾなどと共演したこともあるし、彼の曲はガル・コスタやネイ・マットグロッソなどが録音している。

 ブラジルのヒップホップを語るうえで欠かせないクリオーロに対する理解を深めるために、ラティーナは直接インタビューをすることができた。

画像1


ここから先は

2,543字 / 1画像
このマガジンを購読すると、世界の音楽情報誌「ラティーナ」が新たに発信する特集記事や連載記事に全てアクセスできます。「ラティーナ」の過去のアーカイブにもアクセス可能です。現在、2017年から2020年までの3.5年分のアーカイブのアップが完了しています。

「みんな違って、みんないい!」広い世界の多様な音楽を紹介してきた世界の音楽情報誌「ラティーナ」がweb版に生まれ変わります。 あなたの生活…