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[2020.03]【連載 TÚ SOLO TÚ #238】 ベーシスト ジーン・ペレス 〜ウィリー・コロンのNYにおける必要性を感じた夜〜

文●岡本郁生

 17年ぶりのエレメンツ・オヴ・ライフはやはり素晴らしかった。

 マスターズ・アット・ワークでも活躍するDJのルイ・ベガが率いるバンド・プロジェクト、エレメンツ・オヴ・ライフが前回ブルーノート東京で公演を行ったのは2003年。まだ新人だったラウル・ミドンが大きくフィーチャーされた、めくるめくダンサブルなステージの様子はいまでもハッキリと蘇ってくる。去る2月4日(火)と5日(水)に再びブルーノート東京に登場した彼らは、3人の女性歌手に加え、パーカッションにルイシート・キンテーロとロベルト・キンテーロという名手ふたり、ヴォーカルとキーボードにブレイズのジョシュ・ミラン、さらにキーボードにアクセル・トスカという、いまのニューヨークの音楽界の最先端が集結したようなメンバーで、前回とはまたちょっとテイストの違う、だが、グルーヴィでディープな世界を聞かせてくれた。両公演ともに、ベースはジーン・ペレス。どっしりとボトムを支えつつ、ゴキゲンなフレーズを随所に織り交ぜながら会場を燃え立たせるベースのサウンドは絶品だ。彼と初めて会ったのはもう33年前になる。

 1987年12月のウィリー・コロン日本公演のことはいまでもよく覚えている。76年にファニア・オール・スターズが奇跡の来日を果たして以来、11年ぶりの本格的サルサ楽団の来日であり、筆者自身、縁があって何度も公演を見たという事情もある。中でも特に印象深いのは、いまは亡きイラストレーターの河村要助さんに誘っていただいて、これもいまはなき新宿コマ劇場の地下にあったシアターアプルに、リハーサルをのぞきに行ったことだ。

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