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[2019.04]ブラジル音楽の職人と魔術師が日本にやってくる 〜O artesão e o bruxo〜

文●アンドレイ・ヘイナ text by ANDREI REINA

「この男は新しいよ。新しいことをするんだ。クリエイターだよ」 白髪の長髭で派手な柄のシャツを着た老男が、その横ではにかむ男の肩に手を置いて語る。「エルメート(私)は嘘をつかないってみんな知ってるだろ?」と、その老男が語った後にさらに強調する。「私にとって、この人は偉大なコンポーザーそして演奏者の一人だ」これは、YouTubeで見られる1998年に撮影された貴重な映像で、ブラジルのミュージシャンのなかでも最も異才を放つ存在であるエルメート・パスコアールが、「Hermeto e os Novos (エルメートと新人たち)」というCCBB(ブラジル銀行文化センター)で行ったプロジェクトのなかでギンガを紹介をした際の記録だ。

 この時、ニューフェイスとして紹介されたギンガだったが、この時すでに48歳で、3枚のアルバムを録音していた。彼を大絶賛したベテランとは、たったの14歳の差しかなかった。事実、ギンガ(エルメート流に言えば、〝ギンガォン[大きなギンガの意]〟)の名で知られるカルロス・アルチエール・ヂ・ソウザ・エスコバールの名が知られるようになったのは、遅かった。クララ・ヌネス、エリス・レジーナ、カウビー・ペイショットなどの1970年代当時人気の歌手たちがギンガの曲を歌い、1976年には、若干26歳で、ブラジル音楽の礎石となるカルトーラの名曲「O Mundo é um Moinho」の録音でギター奏者として参加していたのにもかかわらず、ギンガの最初のソロリーダーアルバムがリリースされたのはそれから数十年か経った1991年のことだ。

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