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[2017.03]マリオ・ラジーニャ|現代のポルトガルを代表する作曲家・ピアニスト

『Terra Seca』は、ポルトガル・ギターが今までにほとんど訪れたことのない場所を訪れてその場所が〝乾いた土地〟でなくなるための小さな一歩であると思います

文●吉本秀純
texto por HIDESUMI YOSHIMOTO

 ポルトガルを拠点に活動し、世界的にはケイト・ブッシュやビョークに通じる歌声で幅広く支持された女性歌手マリア・ジョアンとの長年のコラボで知られるピアニストのマリオ・ラジーニャ。近年にはブラジルのアンドレ・メマーリとのデュオ作を発表したり、アンドレス・べエウサエルトが昨年に発表した作品で彼の楽曲を取り上げるなど。南米の先鋭的な音楽家たちに与えた影響の大きさが明らかになる中で、ポルトガルの60年生まれの隠れた巨匠の流麗にして豊かな才を伝える2作品が日本流通されることとなった。ジャズで使われることは稀なポルトガル・ギターを交えた変則的なトリオ編成による『Terra Seca』(13年)と現代ジャズのピアニストとしての卓越したスキルの高さが切れ味鋭く発揮された『Espaço』(07年)という近年の代表作の話から、音楽的ルーツ、南米の才人たちとの繋がり、同じポルトガル語圏であるブラジルの音楽との距離感などについてメール取材で訊いた。

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—— 13年にリリースされた『Terra Seca』は、ポルトガル・ギターを含めた変則的なピアノ・トリオでの録音でした。ファドやブラジルのショーロなどからの影響も聴き取れ、ポルトガルからしか生まれ得ないジャズ作品になっていると感じましたが、この作品を通して表現しようとしていた音楽的なヴィジョンやテーマについて聞かせてください。

マリオ・ラジーニャ ポルトガル・ギターは典型的なポルトガルの楽器です。ポルトガル音楽の世界を強く象徴するもので、ファドとかなり密接に結びついています。 でも、この作品では、以前からよく使われるやり方以外でポルトガル・ギターを使うことを試してみたいと思っていました。そのためには、その冒険に一緒に挑戦することができ、かつ挑戦したいと思っているような音楽家に出会うことが必要でした。ミゲル・アマラル(Miguel Amaral)と知り合って、この冒険に相応しい人物に会ったと感じました。彼はファドの音楽世界を深く知っている人物ですが、同時にファド以外の音楽世界にも大きな興味があり、このプロジェクトに献身的に取り組んでくれました。ポルトガル・ギターで出来ることを出来ないことを私に説明してくれたのは、このプロジェクトにとって欠かせないことでした。最初に作曲したいくつかの曲は、物理的にポルトガル・ギターでは演奏できないものでした。

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