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[2017.05]北村 聡 × 早川 純〜新しい時代を切り開く2人のバンドネオン奏者

文●鈴木一哉

 小松亮太に続く世代のバンドネオン奏者たちの中でも先頭に立って最先端を切り開く高い音楽性に溢れる活動を展開している北村聡と早川純に、様々な切り口から語り合ってもらう対談が実現した。

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 北村聡は、オルケスタ・アウロラ、クアトロシエントス、喜多直毅クアルテット(5月に西日本での初の地方公演、6月に新譜リリースとレコ発ライヴ)、三枝伸太郎Orquesta de la Esperanza(4月28日にライヴ開催)、パブロ・シーグレルTJTE、中島ノブユキ、鈴木大介との共演などなど書ききれないほど数多くのグループ・企画に参加している。対談直前の3月24日には東京・春・音楽祭でチェロの西谷牧人をゲストに迎えたソロ・コンサートを開催して、多くの委嘱作を含むコンテンポラリーな新しいバンドネオン音楽を追求した演奏を聴かせてくれた。彼が参加した最新録音は、生水敬一朗の企画による、彼とのデュオによるアルバム『展覧会の絵』で、バッハ作品とムソルグスキー「展覧会の絵」のストレートなクラシック音楽としてのバンドネオン・デュオへのトランスクリプションに、日本の現代の作曲家2人への委嘱作が挟まれた構成のアルバム。

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 早川純は、タンゴ・ジャック、ハヤカワ・テルージ・トリオ、アビエルト、タンゴ・アスール、スペシャル・キンテートなど、自身が主宰する様々な方向性を持つグループを多角的に展開しており、さらに、北村の後任として、菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラールの現メンバーでもある。対談の直後の4月2日にはライヴ・スポットのエル・チョクロでタブラ奏者の吉見征樹とのデュオ・ライヴを開催して、独自の即興性に溢れるスリリングな音楽を楽しませてくれた(次回は5月21日にライヴ開催)。レオナルド・テルージ(コントラバス)、久保田美希(ピアノ)とのハヤカワ・テルージ・トリオの最新アルバム『タンゴ・ヌーヴォー』は、テルージと早川それぞれのコンテンポラリーなタンゴ性を基盤とした自作、タンゴ名曲の早川による独創的なアレンジで構成。

 2人とも、古典から現代にいたるタンゴへの強い愛情を持つ一方で、ジャンルを越境してバンドネオンという楽器の可能性を拡張するような方向性にも積極的である点で共通するが、一方で、その奏法も活動の在り方も対照的な個性を示しており、音楽シーンで今後ますます重要な存在になっていくことだろう。

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