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[2018.05]追悼:文学とポップの作曲家 ヨハン・ヨハンソン

文●オラシオ text by HORACIO

 アイスランドが世界に誇る作曲家ヨハン・ヨハンソン(より正確にはヨーハン・ヨーハンッソン)が今年2月に48歳の若さで亡くなった。ドゥニ・ヴィルヌーヴの『ボーダーライン』『メッセージ』、ダーレン・アロノフスキーの『マザー!』、ゴールデン・グローブ賞を受賞したジェームズ・マーシュの『博士と彼女のセオリー』など話題の映画での音楽制作が相次ぎ、まさしく「時の人」となった矢先の急逝だった。

 ヨハンは映画音楽家、またはヨーロッパの作曲家としては異色の経歴で、ほぼ独学で作曲やオーケストレーションの技法を身に着けている。音楽のかわりに彼が大学時代アカデミックに学んでいたのは文学だった。映画音楽以外のいわゆるポスト・クラシカルなリーダー作の数々に見られるストーリー性豊かなコンセプトには、明らかに文学への深い愛と見識が横たわる。ちなみに「ポスト・クラシカル」という分類は本人が嫌がっていたそうなので本稿ではもう使わない。

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