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[2018.03]特集:アフリカ音楽の新しい地図 日本×GHANA 〜YANO BROTHERS〜

文●宮ヶ迫ナンシー理沙 text by NANCI LISSA MIYAGASAKO

 矢野ブラザーズ、というより長男マイケルを、彼がヒップホップユニットBLENDZを組んでいた時代から知っている。2008年、いまだに日本は「単一民族国家」だと語る人たちが存在する日本で、ハーフや〇〇系日本人と自称するミックスルーツな人たちが集まりこの日本での自分たちの存在感を示したいと企画されたヒップホップのライヴイベント「SHAKE FORWARD」を開催した。私は当時その仲間の一人として矢野マイケルと出会った。そのイベント、取り組みは外国人登録者数が増加の一途をたどる日本で注目のテーマのひとつであったこともあり、ドキュメンタリー番組『にっぽんの現場』にも取り上げられたりした。

 兄弟は、ガーナで日本人の父とガーナ人の母との間に生まれ、ガーナで暮らしていたのだが、家が武装強盗団に襲われ、逃げるように日本へ。日本では、一家離散してしまい、兄弟は施設で育った。

 マイケルは、若くしてその才能を開花させてプロサッカー選手として活躍をスタートし、その後格闘技に転身し、それと並行して音楽活動もスタート。知り合った当時テレビの番組のラップバトルで優勝するなどし、異色の経歴のラッパーとしても注目度が高かった。近年は、後藤真希、玉木宏、韓国のアイドルユニット2PMへの楽曲提供するなどして、活動の幅を広げてきた。

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