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[2018.05]【連載 TÚ SOLO TÚ #217】東京スカパラダイスと共演! プエルトリコの歌姫、イレ

文●岡本郁生

 プエルトリコの歌姫、イレ(iLe)が先月末、突然の来日を果たした。

 東京スカパラダイスオーケストラの最新アルバム『GLORIOUS』に参加した彼女は、3月28日に東京キネマ倶楽部で開催されたリリース記念プレミアムライヴにゲスト出演。アルバムに収録された自己の楽曲「テ・キエロ・コン・ブガルー」を共演し、途中で日本語詞を聞かせたばかりか、もう1曲、スカパラのレパートリー「縦書きの雨」では、なんと全編日本語詞に挑戦。素晴らしい歌声を聞かせてくれたのである。本当に感動的なパフォーマンスで、その場にいたスカパラ・ファンたちにも大きな衝撃を与えたのではないかと想像する。

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 プエルトリコの人気ヒップホップ・グループ、カジェ13(カジェ・トレセ)のメンバーとして活躍する中で、一昨年ソロ・アルバム『イレビタブレ』を発表。グラミー賞で「ベスト・ラテン・ロック・アーバン・オア・オルタナティヴ・アルバム」を受賞し、一躍注目を集めたイレ。1989年4月28日生まれということだから、もうすぐ29歳の誕生日を迎える。カジェ13でともに活動する兄ふたり、レシデンテ(レネ)とビシタンテ(エドゥアルド)はともに78年生まれということで、インタビューではまず、家族関係の確認から……

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東京スカパラダイスオーケストラ『GLORIOUS』(2018年)

── おとうさんとおかあさんが、連れ子同士で結婚した、ってことなんですよね?

イレ だいたいそんな感じね。レネ(レシデンテ)が同じおかあさんの兄なんだけど、そのおかあさんがエドゥアルド(ビシタンテ)のおとうさんと結婚して私が生まれたの。

── 日本では、そういう関係はあまりないですね。

イレ あ、そうなのね。おかあさんが2回結婚してて、4人子供たちがいるんだけど、おとうさんの方には5人子供たちがいたりして、兄弟は全部で9人。みんなすごく団結してる。そのうちの5人が13番通り(カジェ13)にある家で育った。

 レネはその家にいたときから曲を書いていたので、いつも〝カジェ13〟と名乗っていた。エドゥアルドは当時おかあさんと住んでたんだけど、おとうさんがレネのおかあさんと結婚していたから〝ビシタンテ(訪問者)〟としてそのカジェ13の家に来ていた。だから、レネは〝レシデンテ(居住者)〟なの。私が生まれたことで家がもういっぱいになって、引っ越さなきゃいけなくなったんだけどね。

── アルバム『イレビタブレ』には、おばあちゃんが作った曲が収録されてますね。

イレ おばあちゃんは6年前に亡くなっんだけど、人生の間でたくさん作曲をしてきた。そのうちの2曲、チェオ・フェリシアーノと共演した「ドロール」と1曲目の「キエン・エレス・トゥ」ね。

── チェオ・フェリシアーノとのデュエットにはビックリしました。

イレ このアルバムの中で初めて録音したもので、2012年の録音。彼は14年に事故で亡くなってしまって、出来上がったものを聞いていないの。

 おばあちゃんの友だちがこの「ドロール」を歌ったカセットを、私に聞かせてくれた。いつもおばあちゃんがこれを歌ってたから、女の人の声っていうアタマがあったんだけど、男の友だちが歌うのを聞いて「この曲をチェオが歌ったらすごくいいんじゃないか」とふと思って、おばあちゃんが亡くなる前に「どう思う?」って訊いたらすごく感激して。ということは、許可をもらえた、ということなので、チェオに話して、ぜひやろうということになったの。

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