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[2020.02]レダ・トーレス インタビュー 『11人のピアニストによる カルロス・ガルシア集』 貴重な音源を譜面・音源化

文●宇戸裕紀 text by HIRONORI UTO

 20世紀初頭からロベルト・フィルポの楽団に在籍して20世紀後半まで長きに渡って活躍し、晩年には映画『カフェ・デ・ロス・マエストロス』で印象的な姿を残したピアニストといえばカルロス・ガルシア。彼の編曲が譜面に起こされ、さらにディエゴ・スキッシやエルナン・ポセッティ、日本からは大長志野という現代タンゴ界の旗手たち11人のタンゴピアニストと1人のバイオリン奏者(ラミーロ・ガジョ)が録音に参加した貴重な音源が完成した。ピアニストのセレクション、譜面起こし、ピアノ演奏の一人三役を担ったレダ・トーレスに話をきいた。

── カルロス・ガルシアの音楽との出会いのきっかけは。

レダ・トーレス 10年以上前にマル・デル・プラタからブエノスアイレスにアルゼンチン音楽の勉強に出てきた際、課題の中でタンゴのアルバムを買って友人たちとシェアするというものがありました。その中に『カルロス・ガルシアVOL .2』があり、ピアノソロでタンゴ/フォルクローレ曲集を4作品残していると知りました。カルロス・ガルシアは特に演奏法が特有で圧倒されました。その時からルシオ・デマーレやタランティーノといったよりコンテンポラリーなピアニストのピアノソロも聴き続ける一方、特にカルロス・ガルシアのアレンジはシンプルさと耳への馴染みやすさ、センスのよいエレガンスさが携わっていて、今回の作品を作ることに至りました。

── 日本のタンゴファンに向けてアルゼンチンポピュラー音楽史におけるカルロス・ガルシアの音楽の意義を紹介してください。

レダ・トーレス カルロス・ガルシアは長きに渡って編曲に時間を割いてきたピアニストで、そのためかその名前は他のアーティストに比べると知られた存在ではありません。初期はロベルト・フィルポ楽団のピアニストであり、様々な楽団や歌手の編曲者であり、ラウル・ガレーロとともにブエノスアイレスタンゴ楽団の創設者でもありました。ピアニストにとってカルロス・ガルシアは学校のような存在です。タンゴのピアノはどう弾かれるべきかという問いの答えは彼の録音を聴けばすぐに見つかります。

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CARLOS GARCIA

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