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ディエゴ・スキッシから遡る、はじめてのタンゴ

文●清川宏樹

 カルロス・アギーレとその周辺の演奏家たちによる音楽作品を発端として、アルゼンチンフォルクローレは、今や日本の幅広い音楽ファンに受け入れられつつあると言って良いだろう。そして素晴らしいアーティストが次々と来日し、人間味に溢れた深い音楽性に直接触れる機会が増えたことは、我々にとって嬉しい限りである。

 そんな中、本年11月にはアルゼンチンを代表するピアニストであるディエゴ・スキッシが待望の初来日を果たす。ポスト・ピアソラ時代のタンゴの最先端を行く彼は、アカ・セカ・トリオとの共演盤や自身のキンテート作品で、日本でもその名を轟かせつつある。ジャズリスナーやミュージシャンにも彼のファンは多い。

 さて編集部から原稿依頼を受けた際のテーマは、「ディエゴ・スキッシやモダン・フォルクローレのリスナーが古典タンゴにも興味を持つような足がかりを作ってほしい。」というものだった。けれどそんな壮大なテーマ、自分に務まるのだろうか……と悩むこと数か月(編集部の皆様ごめんなさい)。本誌はいつも錚々たる面々によるタンゴ論評に溢れているし、小松亮太氏は本年6月号までの連載の中で「なぜタンゴが広まらないのか」について鋭い指摘をされている。そんな素晴らしい論者方の目を恐れる若造の筆者だが、本業の合間にバンドネオンを弾き続けるタンゴに憑りつかれた一人として少しでもタンゴファンが増えてほしいと思い、筆を執ることとした。ディエゴ・スキッシをタンゴとして聴き、古典タンゴとの共通点を明かすことによって、彼の音楽を「タンゴの沼」に足を踏み入れる1歩目としてくれる方が一人でもいらっしゃることを願う。

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