[2019.06]特集:美しい人 才女たちの奏でる唯一無二の音楽 〜濱瀬元彦の選ぶ 女性音楽家の美しき50枚

 月刊ラティーナ6月号の特集は「美しい人 才女たちの奏でる唯一無二の音楽」と題して、女性ミュージシャンにフォーカスします。

 選盤記事では、揺るがぬ審美眼で多様なジャンルの音楽を長年に渡り深く愛好し、編集部が全幅の信頼を寄せる濱瀬元彦氏と松山晋也氏に、選盤をお願いしました。それぞれにオールジャンル、オールタイムのベスト50を選んでいただき、解説コメントをお願いしました。とても貴重なティスクガイドとなりました。

 インタビュー記事では、以前からお話を聞きたいと思っていた女性音楽家の人たちに連絡をとり、インタビューが実現しました。日本語で読めるインタビューとして貴重なものばかりですので、ぜひお読みください。

 本特集を彩っているイラストは、イラストレーターの中村ナナさんの作品です。本号の表紙のイラストも中村ナナさんの作品です。(編集部)

▶︎ アナ・コスタ

アナ・コスタ Ana Costa_"Hoje é melhor lugar"

Ana Costa『Hoje É Melhor Lugar』(2012)

●ブラジル、リオ出身の歌手、作曲家。優れた声質、完璧な音程、強力なリズム感を併せ持つすごい歌手である。サンバは無論素晴らしいが、作曲に於いてゼリア・ドゥンカン、ジョアン・カヴァルカンチどMPBの要人との共作が多く、見事な曲を書いている。これまでに4つのソロアルバムがあるが『Novos Alvos』(2010)、『Hoje é melhor lugar』(2012)の2つはサンバとMPBのバランスがよく特に優れた作品である。

▶︎ アメリア・クニ

アメリア・クニ Amelia Cuni [John Cage's SOLO 58 (2007)]

Amelia Cuni『John Cage's SOLO 58』(2007)

●イタリア、ミラノに生まれ、インドで10年以上歌唱、ダンス、打楽器を学び、現在はベルリンを拠点として活躍するインド音楽声楽家。ブラジルの作曲家シコ・メロのインド音楽歌唱の師匠として私は知ることになった。テリー・ライリー、シコ・メロら現代音楽の作曲家たちは彼女の声のために作品を書いている。ここに挙げた作品はジョン・ケージのSONG BOOK(1970)からの初演で、先鋭的かつ濃厚な魅力に満ちた作品だ。

続きをみるには

残り 12,672字 / 54画像
このマガジンを購読すると、世界の音楽情報誌「ラティーナ」が新たに発信する特集記事や連載記事に全てアクセスできます。「ラティーナ」の過去のアーカイブにもアクセス可能です。現在、2017年から2020年までの3.5年分のアーカイブのアップが完了しています。

「みんな違って、みんないい!」広い世界の多様な音楽を紹介してきた世界の音楽情報誌「ラティーナ」がweb版に生まれ変わります。 あなたの生活…