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[2018.05]日本とアルゼンチン、世界をタンゴで結んでくれた、鍛治敬三さん逝く!

文●本田 健治 texto por Kenji Honda

 日本とアルゼンチン・タンゴ界の間を半世紀以上にわたって、コーディネーターとして強力に繋いできた鍛治敬三さんが3月16日夜、近年滞在していた東京・三ノ輪で亡くなった。

 弊社の前身である「中南米音楽」時代から、モーレス、ピアソラ、プグリエーセといったタンゴ界のほとんどの大マエストロたちや、フォルクローレ界の偉人たちの日本招聘に、アルゼンチンに住みながら、もっとも活躍してくれた、まさに偉大なコーディネーターだった。国と国の文化交流に、アーティストたちの活躍や交流は語られるが、裏方が登場することはあまりない。鍛治さんはまさに偉大なる裏方人生を歩まれてきた方だ。しかも、早川晋平オルケスタ・ティピカ東京、藤沢嵐子、坂本政一楽団等の世界公演をコーディネートし、その強烈な個性で世界中を闊歩してきた。もっとも、鍛治さんの足跡をたどる場合、タンゴ、フォルクローレに限定するのは正しくはない。ロサンゼルス、ニューヨーク、メキシコなどいろいろなところに住んで、音楽以外にも大使館の場所の取得、果てはモデルの手配まで数え切れない種類のコーディネートをしてきた。

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