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[2018.10]特集:音楽とラジオとエッセイと 「サウージ!サウダージ...」 30周年!

文●中原 仁

 1988年の夏。フリーランスのディレクターとしてFM東京で多くの番組を制作した後、開局前のJ–WAVEに入社してチーフ・プロデューサーの任についた斎藤日出夫さん(現会長)から「日曜の夕方にブラジル音楽を軸とする番組の枠を作った。君に制作を任せるので企画とタイトルを考えよ」とのミッションが下った。

 24時間×7日の生活サイクルの中で、他にはない特別な感情を喚起する日曜の夕方に、感情表現が豊かなブラジル音楽は絶対にハマるとの確信があり、タイトルも、曜日と時間帯から「サウダージ」がすぐ浮かんだ。

 でもこれだけではタイトルにならない。どんな言葉を合わせようか考えていたら、番組の提供社がキッコーマンに決まるとの連絡が。当時のキッコーマンは醤油だけでなく自社ブランドのマンズワインに力を入れていて、若い主婦が夕食の準備をしながら聴いてディナータイムにワインで乾杯したくなるような番組を希望しているという。乾杯ならば「サウージ!」だ!ということで決めたタイトルが「サウージ! サウダージ」。韻を踏んだ言葉の響きも心地良く、ラジオという音声メディアからこの言葉が聞こえてきたら最初は「ん?」と思うだろうが、そのうちに耳に残って覚えてもらえるだろうとの読みもあった。

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