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[2019.02]東郷清丸 クリエイティヴが爆発する最注目の大器

文●西澤裕郎 text by HIROO NISHIZAWA

 2枚組全60曲入りのアルバム『2兆円』が話題となった1991年横浜生まれのシンガー・ソングライター、東郷清丸。一度見たら忘れられないインパクトの強いジャケット画像や、彼が勤めるデザイン会社Allrightの活版部門Allright Printingでの活版職人としての活動、ボサノヴァ調のアレンジの「サンキスト」が収録されたカセットシングルのリリースなど、音楽以外のクリエイティヴにも注目が集まっているが、あだち麗三郎、MC.sirafu、池上加奈恵、谷口雄、クロ(TAMTAM)をバンドメンバーに制作された『2兆円』は、いわゆるシティポップ調の音楽から、リズムが特徴的なファンクを感じさせる楽曲など、バラエティ豊かで創造性に溢れている。その中心にある音楽のルーツとは何なのか? 新作アルバムの制作中という東郷に、日曜日の朝、大崎の喫茶店で話を聞いた。

── 東郷さんが音楽に興味を持ったきっかけは?

東郷清丸 保育園のリトミックの授業で「ちいさい秋みつけた」を歌ったときに感動したんです。先生から「体を小さくしてを歌うのよ」と言われて、やってみたら本当に秋が小さいような感じを受けて。それ以外にも寒風摩擦などで音楽と身体が一致する楽しさに刺激を受けました。あと、合唱の指揮もすごく好きでした。全員をまとめてクレッシェンドとかデクレシェンドをコントロールしている時がすごく楽しくて。大学生になってからは、音楽に詳しい身近な友達や先輩からカナダのシンガー・ソングライターのファイストを教えてもらってぐっと来たり、ヴァンパイア・ウィークエンドやトゥー・ドア・シネマ・クラブみたいにシンプルなのにおもしろい音楽を聴くようになって。そこから遡っていろいろな音楽を聴くようになりました。自分で作曲する時は、その時々で自分の中で来ている音楽を取り入れていることが多いです。

── メインで使っている楽器はギターですか?

東郷清丸 はい。中学生の時、父が昔使っていたアコギを持って来てくれて、高校生の時にオリジナル曲も作り始めたんです。入学祝いで買ってもらったZOOMのMTRに自分でリズムを組んでベースとギターを入れて学校に持って行くんです。そのときは軽音部に入っていて「あなたはこれ弾いて」みたいな感じで僕が全部指定して、シーケンサーのように人を使っていました(笑)。大学でやっていたmicann(現・テンテイグループ)に関しては、ほとんどそうしていましたね。最初の頃はフィルの位置まで指定していたんです(笑)。

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撮影:後藤洋平(gtP)

── 2017年にリリースされた東郷清丸名義のアルバム『2兆円』は、あだち麗三郎さんとの出会いが大きなポイントだったと思うんですけど、その経緯を教えてください。

東郷清丸 バンド編成をいくつか試していた時期で、ライヴでドラムを叩いてほしいなと思ってあだちさんに連絡してみたんです。それで最初、お茶をしているときに「ライヴだけやるのもいいんだけど、せっかく曲もあるし音源を作っちゃおう」って話になり、どんどん展開していって。もともと、シャッフルビートとかヒップホップのビートが好きだったので、そういう曲も作っていったんですけど、それが「ロードムービー」の元なんです。シャッフル感に関しては、自分の中でこれがいいというポイントがはっきりしているので、あだちさんにも説明して僕の好みに寄せてきてもらった感じですね。そういうやり取りをして、特にリズムとかグルーヴに関しては自分の中で気持ち良いポイントがはっきりしているんだなって最近わかりました。

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