[2021.03]【沖縄・奄美の島々を彩る歌と踊り8】 沖縄の浜下り行事 −祓い清めと女の遊び−
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[2021.03]【沖縄・奄美の島々を彩る歌と踊り8】 沖縄の浜下り行事 −祓い清めと女の遊び−

文:久万田晋(くまだ・すすむ 沖縄県立芸術大学・教授)

 3月になってずいぶん寒さも和らいできた。沖縄では旧暦の3月3日にハマウリ(浜下り)と呼ばれる行事が行われる。昨今の沖縄では、「ハマウリって、ビーチパーリ(ティ)ーのことでしょう?」とこたえる若者も多いようだが、ハマウリの本来の意味は海浜に打ち寄せる潮水で心身に付いた穢れを祓い清める行事である。

 このハマウリ行事には由来譚がある。ある美しい娘のところに夜な夜な若い男が訪れてきた。母親は娘に男の身元を問うが、娘は答えられないまま子供を身ごもってしまう。娘は母に教えられて男の着物にこっそり糸付きの針を挿しておいた。男が帰った後、娘と母が糸を辿って行くと洞穴に至った。中にはアカマター(蛇)達がいて、「俺は人間の娘を妊娠させた」と自慢げに話していた。すると別の蛇が「人間は賢いから、気をつけないと3月3日に海砂を踏まれて(お腹の中の子が)堕されるよ」と話した。それを聞いた母と娘は、3月3日に急いで海浜に下り潮水で身を清めると、娘のお腹から蛇の子供が流れ出た。それ以来3月3日には海浜の潮水で身を清めるようになったという。

 古事記には、これに類似した三輪山伝説がある。三輪山の神(大物主大神)が人間の娘(活玉依姫)の前に現れて神の子を授けた話となっている。宮古島の漲水神社にも同様の由来譚があり、人間の娘と大蛇(神の化身)の間に生まれた三人の女子が宮古島の守り神となったと伝わっている。これらは人と異類(神)の間の婚姻譚として、話の結末は各々異なっているものの、日本文化と沖縄文化が深いところでつながっていることの一つの証しとなっているのである。

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