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[2019.10]バジ・アサド来日記念interview

文●中原 仁 text by JIN NAKAHARA

 ブラジルを代表するクラシック・ギターのデュオ、セルジオ&オダイル・アサド、通称アサド兄弟の妹、バジ・アサド。彼女の演奏を初めて生で聴いたのは約20年前だった。USA録音の『カメレオン』の日本盤が発売された後、プロモーションで来日し、番組用に1曲、生演奏してくれたのだが、兄譲りの確かなギター・テクニックもさることながら、変幻自在のヴォイス・インプロヴィゼーションに度肝を抜かれた。

 それ以前に会った兄2人もクラシック音楽家らしからぬファンキーなキャラが素敵だったが、妹はさらにぶっ飛んでいて、音楽のジャンルを楽々と乗り越える自由人という印象が残っている。

 10月後半、30年余りのキャリアを経て初のソロ来日公演を行なうバジ・アサドに、メールでインタビューを行なった。

── 幼少期の家庭内の音楽環境と当時、好きだった音楽家を教えてください。

バジ・アサド 私が生まれた時、セルジオとオダイルはすでにギターを演奏していました。兄たちが練習するリビングではいつもクラシック音楽が流れていました。週末になると、父がバンドリンを手にして、友人たちをホーダ・ヂ・ショーロに誘いました。母は家事をしながらいつも歌っていました。私の部屋にはラジオがあり、当時のブラジルのポピュラー音楽のエッセンスを選曲していたチャンネルを、ずっとつけておくのが好きでした。シコ・ブアルキ、ジャヴァン、ジルベルト・ジル、エリス・レジーナなどをよく聴きました。

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── ギタリスト、ヴォーカリスト、そしてヴォイス・パフォーマーであることが、あなたの音楽性の特徴だと思います。いつ頃からヴォイス・インプロヴィゼーションを始めましたか?また、その目的は?

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